DVC00055震災後、自分も周りのメンバーも登山を楽しめる雰囲気ではなくなり、3月、4月の山の予定がすべて白紙に。
地震直後は、余震による雪崩や落石の危険もあり、またガソリン不足というのも山から足を遠のかせる要因になりました。

いつまでもこんな状況ではいけないなぁと思い始めたのは最近のことですが、昨日、今日の天気予報を見て晴れマークが多いことに気づき、山行きを突然決めました。
ところが、すべてのプランが白紙になっていてすぐに実行に移せる登山計画がない…
そんなときちょっと頭をよぎったのが八ヶ岳の天狗岳。
2月に山仲間がツアーで天狗岳の雪山登山に参加し、雪山練習にはとてもよい山であること、また朝早く登山口に行けば日帰りが可能であると言っていました。
そんなわけで、急いで雪山装備を整えて寝る。


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天狗岳は北八ヶ岳の最南に位置する双峰の山。
東天狗岳(2640m)、西天狗岳(2646m)が兄弟のように並んでいます。
※この写真では左が東天狗、右が西天狗。
方向によっては猫の耳のようにも見えます。
いろんな登山口から登れますが、メジャーなルートが渋の湯から。
車があると十分日帰りできるのですが、電車、バスを使うと日帰りが難しい、というか不可能。
渋の湯まで茅野駅からバスが通じているのですが、これが1日3本。
首都圏からだと始発のバスは乗れず、結局、昼に登山口について2時間ぐらいで黒百合ヒュッテで泊まり、翌日、山頂にアタックという1泊行程を余儀なくされます。


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朝は2時半に起きて3時前に出発。
7時到着を目標としていましたが、早く着きそうな感じなので、途中朝ごはんを食べて渋の湯の駐車場到着が6時過ぎ。
3時間ぐらいで着きました。
駐車料金1000円を払って、登山の準備。天気は良さそう。
久しぶりの登山だし、昨夜慌てて準備していたので忘れ物が怖かったのですが、大丈夫そう。
しかし!なんと、一眼レフカメラのバッテリーの充電が切れてました!
しまった〜
そんなわけで、今日はカメラは携帯電話のカメラだけです。
気を取り直して、登山口の橋を渡る。6時半出発。


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最初から雪が積もっていて、いきなりアイゼン着用。
樹林帯の中、いきなり急な坂が続きます。
でも雪はしっかり踏みしめられていて、歩きやすい。
急な坂のあとはゆったりした登り道。
なかなか心地よい雪道。
2時間ぐらいで黒百合ヒュッテに到着。


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ここからいよいよ山頂へのアタック。
ちょっと歩いて中山峠へ。この峠から少し行くと樹林帯が切れ、稜線に出ます。
すると、一気に強風が襲ってきます。
フェイスマスクをしても、それが剥ぎ取られるぐらい。
ここで、ストックをやめて、ピッケルに持ち替え。
ピッケルをちゃんと使うのは初めて。
すると出てきました!雪の壁が。
ピッケルを駆使し、足元を踏み固めながら登る。


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今日は天気はいいけれど、風がめちゃくちゃ強い。
うっかりしていると、ふらっとよろめきそうになります。
特に岩場は危険。
アイゼンが地面に刺さらないし、岩の上にアイゼンが載っている状態で、強風が来てバランスを崩すとまずい。
強風が来たらピッケルを地面に刺し、体を低くし、足場を確保する。


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かなり難儀しながら、黒百合ヒュッテから1時間強で東天狗岳(2640)に到着。
景色が最高!360度の展望。
硫黄岳、赤岳はもちろん、南アルプスもきれいに見えます。
北アルプスもちょっと見える。
ここからがんばれば硫黄岳まで行けるかなぁと思っていたのですが、こうしてみると、稜線がかなり狭く、今の自分の技術では難しそうな感じ。
夏なら平気なんでしょうけれど。
向かいに西天狗岳がそびえているので、今度はそっちへ。


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東天狗から西天狗へはいったん下って登り返す。
ただ、この登りがなかなか辛い。
雪が深く、足が沈む…
きっと西天狗の山頂にはすごいいいことが待ち受けているはずだ!とモチベーションを上げて山頂へ。
しかし、山頂には何もありません。
「ああ、山頂だな」と思える程度です。
でも、こんな山頂も好きです。


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下りは来た道を折り返すのですが、ちょっと行きとルートを変えて、「天狗の奥庭」を通って行くことにした。
でも、誰もこのルートを通らないんですよね。
みんな稜線のルートを通っていく…
このルートですが、変化に富んでいてなかなか面白いです。
ただ、風がきつく、岩場が連続し、そして人が通らないのでトレースがなく、かなりスリルに溢れています。
だいぶ時間をかけて黒百合ヒュッテに戻りましたが、長時間寒風にさらされていたせいか、頭痛がしました。


黒百合ヒュッテに戻ってちょっとご飯を食べて下山開始。
下りは1時間ほどで下りてきました。
かなりのハイペース。まだ体力が残っていたようです。

下山後は「渋御殿湯」でまったり。
暖まると頭痛も治りました。
今日はなかなかの充実感。
結構な距離と時間を歩いたし、かなり雪山の練習ができた。
惜しいのは、一眼レフが使えなかったこと。
こんなにきれいな景色がいっぱいあったのに…
やっぱり携帯のカメラじゃダメだ。

これからは山スキーの季節だな。
山スキーを中心に白紙になったプランを再興しよう。

震災後、胸と背中に痛みが出るようになってました。
息を吸うとじわじわと痛む感じ。
最初は花粉症でくしゃみをしすぎて、変なところに力が入っていたせいかなと思っていたのですが、花粉症が改善しても痛みはとれず。
そしたら、今日、山から下りてきたら、この痛みがなくなってました。
震災後の停電、節電、買占め、原発問題、野菜・水の安全性が確保できないといった通常とは違った生活、政府や東電のふがいなさに対する怒り、大好きな趣味を楽しめないといったことからきたストレス性のものだったのかなぁという気もします。
完全に治ったわけではないかもしれないので、ちょっと様子を見てみます。

久しぶりに標高2500mを超えたので下山してからも耳がしばらく聞こえづらい状態に。
家に着くちょっと前に「がぼっ!」と大きな音がして(たぶん、この音は自分しか聞こえない)、普通に音が聞こえるようになった。

<記録(だいたい)>
渋の湯     6:30
黒百合ヒュッテ 8:30
        8:45
東天狗岳    10:00
        10:10
西天狗岳    10:30 
        10:40
黒百合ヒュッテ 12:00
        12:30
渋の湯     13:30

■UFOみたいな雲が出てました
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