北岳
「日本で一番高い山は?」という問いに日本人の100%が答えられると思いますが、「2番目に高い山は?」という問いには99%が答えられないと思います。

答えは北岳(3193m)。
南アルプスにあります。
トップの富士山が3776mなのでその差は600m近く。
富士山が断トツなので、その印象は薄いですが、花畑あり、岩壁ありのとても素敵な山です。

南アルプスは甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、塩見岳など名だたる山々がそびえているのですが、いつも遠くから見るだけで登ったことはなく。
なんせアプローチが大変。気まぐれで「じゃあ今日登ろう」というわけにはいきません。
アクセス路である南アルプス林道もこの時期にはマイカーが入れないので、日帰りも厳しいです。

いつか、南アルプスの山に挑戦しようと思いつつ、今年の梅雨明け直後の連休についに挑戦しました。
昨年はこの連休にテント、シュラフ担ぎで八ヶ岳の重装備登山。
雨、風も大変でしたが、ザックのあまりの重さに負けました。
そんなわけで、今回は重装備登山のトレーニングも兼ねて重装備で。
出発前に重さを測ったら、水2リットル込みで15kgありました。
3連休なので、帰りは中央道の渋滞が大変なことになることが予想されたので、電車・バスで行くことに。
この作戦は大成功。

18日の始発で自宅を出発。
鈍行を乗り継ぎ、甲府到着が8時過ぎ。
ここから南アルプスの登山拠点である広河原までバスで2時間。
途中、夜叉神峠を通っていきます。
3連休なのですごい人。バスが3台連なってました。
バスに車掌さんが乗っている意味がわかりました。
南アルプス林道は一車線ですれ違い困難。
対抗のバスと車掌さんが無線で進行状況を連絡しあって、すれ違い場所を確認しています。まるで単線のローカル線の列車のよう。
で、無線が通じないタクシーなどとかちあってしまうと、車掌さんが降りて、待避所まで誘導したり。
そのほか、走っている道や、遠くに見える山々について観光ガイドもやってくれます。このガイドはなかなかためになりました。。
広河原到着が11時過ぎ。
南アルプス林道からの景色があまりにすごいので、広河原に着いだけで満足してしまいそう。

天気が良くて広河原から北岳がよく見えます。
やる気が出てきますね。
重装備を背負って登りはじめる。やっぱりきついね。
普段なら何でもない坂でペースが上がらない…
30分おきにザックを置いて休む感じ。
汗もすごいです。
あっという間にびしょ濡れに
3時間かけてこの日のキャンプ地である御池(標高2230m) に。
標準タイム通りです。
いつも標準タイムの7割ぐらいのペースなのですが、重装備になるとペースが落ちます。

この日はここでテントを張って、翌日山頂を目指します。
このキャンプ場はなかなかいいです。
トイレも水洗できれい。
そして水が使い放題です。
南アルプスの冷たい天然水が蛇口からどんどん出てきます。
山のキャンプ場とは思えない感じ。
ここをベースキャンプにしてあちこち行きたいですが、ここからだと北岳にしか行けないですね…

翌朝は4:30に起きた。
よく眠れた。
谷間なので風も強くなく、標高がそれほど高くないので、長袖フリース一枚でも寒くなかった。
※ちなみに谷間なので、携帯が通じません。ドコモとauがダメなので、Softbankもダメでしょう。

ここから頂上への登頂ですが、いろいろ考えて、テント、荷物をそのままにして、軽装で登ることにしました。
北岳をぐるっと右まわりに回って御池に帰ってきます。
テントは帰りに回収することにして。
やっぱり楽しくやらないとね。

5時過ぎに出発。
草スベリと呼ばれるいきなりの急坂。
でもやっぱり背中が軽いと歩幅が広くなるね
さくさく登れます。
途中花畑もあって心が和む。
稜線に出ると、景色がすごい!
風が強いなか、稜線を1時間ほど歩いて、8:30に北岳山頂に到着。
出発から3時間強。
標準タイムは4時間なので、いつものペースに戻りました。

360度の眺めです。
富士山、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山、八ヶ岳、北アルプス、中央アルプス。
天気がいいので、全部見えます。
そして暖かい。

ただこれから下りが大変。
広河原までの1700mを、途中テントを回収して、終バスの16時までに下り切らないといけない。
しかも途中、雪渓を下らないといけない。

9時に下りはじめ。
やっぱり高山植物がきれいだね。
途中まで景色を眺めたり、花の写真を撮ったり、順調だったのですが、いよいよ雪渓に差し掛かる。
実は雪渓歩きは初めて。雪渓を甘く見てました。
100mぐらいちょっと下るだけと思ってたのだけれど、目の前には500mぐらい雪の斜面が広がってました。
しかも角度はかなり急。まるでスキー場のよう。
ほんとスキーで滑りたくなります。

ここをアイゼンなしで登山靴で下るのはかなり大変。
足の踏ん張る力がだんだん弱ってきます。
2回大きく滑って、腕に擦り傷を負いました。
ここで体力と時間をかなり消費。
11:30にバテバテで御池到着。
暑さと疲れで食欲は全くないけれど、何か食べておかないと倒れる、と思い、パンとソーセージを水で流し込む。

テント、シュラフをたたんでザックに詰めて、いよいよ最後の下り。
12:30出発。
ここから前日に登ってきた道、700mを一気に下ります。
もう足がプルプルしてます。
何度もつまづきそうになり、何回かはころび…
無理はせず、16時のバスの時間までには、という感じです。
そして14:30広河原到着。
北岳を見上げると、はるか遠く高くに堂々とそびえてます。
あそこから一日で降りてきたんだなぁと思うとちょっと誇らしい。
なかなかの達成感でした。

15時のバスに乗って、17時甲府駅到着。
ここから17時28分発の特急かいじに乗って、19時6分新宿着。
指定席は全部埋まっていましたが、それほど混んでなかった。
自宅に着いたのが、20時半前。
やっぱり、連休中は車より電車がいいね。
ビールも飲めるし。

帰りのバスの中で聞いた話
「この時期、南アルプスは人が多すぎ。
 昨日は北岳山荘は一つの布団に二人寝さされたよ」

自分も山小屋は嫌いです。
テントが一番ゆったりするね。
もっと軽いテントが欲しいなぁ。
テント、シュラフを入れても10kg以内に収まるようにしたい。

■御池のキャンプ場。右上に北岳
北岳


■山頂からの富士山
北岳


■雪渓
北岳


■高山植物(花の名前を調べておきます)
北岳


北岳


北岳